歯を失ったままにしておくと、反対側の歯が出て来て、また失った歯の隣の歯は、倒れてくるので、かみ合わせがおかしくなっていき、結果として歯を更に失うこと(抜歯)になり、その負の連鎖で崩壊していってしまいます。そのため歯を失ったところには、何かしら歯を入れた方がいいのです。
歯を補う治療の方法(歯科治療)として、入れ歯の他に、ブリッジ、インプラント治療があります。
人は健康で生きていくために噛める状態でいることはとても重要なことで、歯が無い状況では上手く食事はできません。
十分に噛むことが出来ないと、食べた物をきちんと破砕することができず、胃腸に負担を掛けます。
また、噛むことが、脳にも良い刺激となり痴呆予防にもなったり、健康寿命も伸ばすことが出来、寝たきりになってしまうことを防ぐことにも繋がります。
では、なぜ歯を失ったままにしておくのか?よく聞く悩みを挙げてみました。
入れ歯の悩み
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違和感が嫌
入れ歯の問題点として 一番よく聞く悩みですが、どうしても大きな異物が入りますので、違和感はあるかと思います。解決策として、薄い入れ歯を選ぶ。適合の良い精密な入れ歯を作ってもらうことなどがあります。
それでも違和感がどうしてもとなった場合は、インプラント治療が適しています。ただ骨が充分に無い場合、骨粗鬆症、糖尿病、心疾患などの場合で出来ない場合もあります。 -
金具が目立つのが嫌
入れ歯を固定、維持させるのには、総入れ歯以外では、バネが必要となります。
しかしそのバネが一般的には金属であることがほとんどなので、銀歯などの差し歯であれば目立たないものの、白い天然歯であれば、どうしてもその金属バネが目立ってしまい、審美性に問題となります。
最近ではそういった声の影響か歯茎と同じ色のバネの入れ歯があります。これだとパッと見て入れ歯だとわかりにくいので見た目を気にされる場合には適しています。 -
厚いのが嫌
厚いのが嫌と言われる方の多くは、口蓋と呼ばれる上顎の内側に厚い材料を使用した入れ歯に対して嫌と言われることが多いのですが、プラスチックの素材では強度的に弱いため、厚くせざるをえないので厚さが2ミリほど必要となり当然違和感は強くなりやすいです。
しかし金属床と呼ばれる金属のフレームを使った入れ歯は、厚さがわずか0.5ミリとプラスチックより格段に薄く出来るため、違和感、異物感が少なくなるのです。 -
噛めないのが嫌
入れ歯ではよく噛めない、、、と言われます。確かに天然歯は骨に埋まっていますのでしっかりと噛めるのですが、入れ歯は、粘膜の上に乗せているので、よく天然歯の三分の一くらい〜二分の一しか噛めないとは言われます。しかし入れ歯に問題があり、噛めないのであれば、改善することは出来ます。
入れ歯の問題がある場合の理由は
いくつかあります-
- 上下の噛み合わせが低い、
もしくは高い場合
- 上下の噛み合わせが低い、
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- 上下の噛み合わせがずれている場合
(いわゆる、偏位している場合)
- 上下の噛み合わせがずれている場合
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- 上下の噛み合わせが、
バランスよく適切に噛めていない場合
- 上下の噛み合わせが、
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- 入れ歯の義歯床の内面(粘膜面)が
合っていない場合
- 入れ歯の義歯床の内面(粘膜面)が
これらが原因であれば、
入れ歯の新製、もしくは入れ歯の修理、調整などで
対応できるかと思いますので、相談してくださればと思います。 -
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金属アレルギーが心配
金属アレルギーが心配なのであれば、アレルギーが起こりにくい素材の入れ歯を選べば良いかと思います。例えばチタンは生体親和性が高く、アレルギーが起こりにくいと言われています。
厳密には皮膚科にてパッチテストにて、どの金属でアレルギーが反応するのか調べてから、その金属を使わない材料の入れ歯を選べばいいかと思います。 -
入れ歯が痛い、外れやすい
外れやすいと、人前で話したりと発音するときに困ってしまいます。
この原因は、入れ歯が合っていない、もしくは噛み合わせが悪いことで起こります。外れやすいのも、合っていなくて隙間があったり、噛み合わせがずれてたりで起こることが多いのです。
この問題を解決するには、歯科医師がきちんとした入れ歯の型取りと噛み合わせを取ることを行うことがまず大切かと、、、もう一つが歯科技工士の技術力かと思います。
同じように型を取っているのにも関わらず、完成した入れ歯の適合具合に差が出てしまうのです。
また入れ歯が動かずに、しっかりと噛めるようにとのことであれば、ロケーターと言われる維持装置を使ったインプラントオーバーデンチャーが最も噛めるようになります。 -
入れ歯との隙間に食べかすが詰まりやすい
入れ歯と前歯や奥歯との隙間に、食物残渣が溜まるとここで歯周病や虫歯になりやすくなります。
他ではバネをかける歯の周りの部分にも汚れが溜まりやすくなり、その部分の根っ子の周りの歯槽骨が溶けていき、最悪抜歯となる場合もあります。
入れ歯の種類
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保険義歯(レジン床義歯)
- ●レジン床と呼ばれ保険で出来るためお値打ちにできる
- ●歯を失ってしまった場合など、入れ歯に歯を増やしたりと修理しやすい
- ●素材がほとんどレジンと呼ばれるプラスチックのため強度を補うために厚くなりやすい
- ●食いしばりなどが強い場合は、割れることがある
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金属床義歯(チタン)
- ●チタンはとても軽くて、強度が高いため、
保険の入れ歯と比較して、格段と薄くでき、フィット感が良く違和感が少ない - ●金属のため熱を伝えやすく、食べ物のあったかい、冷たいがわかる
- ●精密に作られるため、適合が良い
- ●強度が高ため、非常に丈夫
- ●金属アレルギーの心配が少ない
- ●目立たないバネのため、見た目があまり気になりません
- ●チタンはとても軽くて、強度が高いため、
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金属床義歯(コバルトクロム)
- ●薄い金属のため、フィット感(装着感)が良く違和感が少ない
- ●金属のため熱を伝えやすく、食べ物のあったかい、冷たいがわかる
- ●精密に作られるため、適合が良い
- ●強度が高く、丈夫
- ●チタンより、少し重い
- ●目立たないバネのため、見た目があまり気になりません
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コンフォートデンチャー
- ●クッション素材で、歯ぐきを優しく保護し、痛みを軽減します
- ●目立たないバネのため、見た目があまり気になりません
※2〜5年周期でシリコンの張り替えが必要です
違和感、異物感がどうしても慣れないなどのことがありますので、
まずは保険で入れ歯をつくるのも良いかと思います。
保険と自費(保険外)の入れ歯の違い
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- 材料が違う
- 例えばよく言われる入れ歯の違和感、異物感は材質に金属を用いることで、薄く丈夫に出来ます。
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- バネが目立たない
- 保険の入れ歯では、バネは銀色ですが、
自費の入れ歯では目立たないバネ(銀色のバネを使わない)にすることが出来ます。(ノンクラスプ義歯)
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- 手間を掛けられる
- 自費診療では、歯科医院で歯科診療に掛ける事ができる時間も多くなるので、
一つ一つの工程を丁寧に時間をかけて行う事が出来ます。
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- 精密な入れ歯となりやすい
- 例えば型取りして、噛み合わせを取ったりと同じような工程を踏んでも、出来上がる入れ歯(義歯)の質は様々です。これは作る歯科技工士の技術によるところは大きいと言えます。腕のいい歯科技工士は、自費専門である事が多いのです。
腕のいい技工士が手間暇かけて自分自身で納得のいくまでこだわり製作してくれるので、その匠のこだわりが違いとなって現れます。
入れ歯の作成の流れ
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- 診察
- まずはレントゲンを撮影して、口の中の全体の診査をします。
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- 歯周病治療
- 歯周病がある場合は、まずは歯石の除去したり、歯周病治療を行い歯肉の状態を改善していきます。
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- 虫歯治療
- 虫歯治療、合っていない被せ物の補綴治療(さし歯など)などの歯科治療を行います。
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- 1回目の型取り
- まずは1回目の入れ歯のための型取りを行い、個人トレーを作成します。
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- 精密な型取り
- 各個人の口の中に合わせた、個人トレーを用いて、精密な型取りを行います。
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- 咬合採得
- 咬合床と呼ばれるもので、正確な噛み合わせを取ります。
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- 噛み合わせの確認
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蝋義歯と呼ばれるものに人工歯を並べて、噛み合わせが上手く行っているか、
歯並びの審美性、噛み合わせの高さ、噛み合わせがずれてないかなどを確認します。
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- 完成
- 入れ歯の完成です。
入れ歯を作って欲しいと希望される患者さんで時々、型を取ってすぐに出来ると
思われている方が見えますが、きちんとした入れ歯を作ろうとした場合、
多くの工程や手間暇をかけないといい入れ歯を作ることは難しくなります。
当院では、義歯専門(入れ歯専門)の医局を卒業した歯科医師が3名おります。
なるべく患者さんの期待に応えるよう丁寧に、回数かけたりと手間暇かけて行いますので、
どうしても時間がかかってしまいますのでご理解のほどよろしくお願します。